マレーシア サバ タンブナン マウンテンバイクレース UCI2

マウンテンバイク全日本選手権を終え、
チームとして何かチャレンジがしたかった。

そんな時に心に留まったのが、マレーシア、タンブナンで8月5日に開催されるUCI2クラスのレース。このレースは、アジアマウンテンバイクシリーズ第2戦に位置付けられており、その初戦は4月末に愛媛県八幡浜市で開催されたCoupeDeJapon UCI1だった。この八幡浜市でのレースの際、UCIアジアマウンテンバイクシリーズの責任者の方が来られており、マレーシアでのレースをチームマネージャーズミーティング中に紹介してくれた。アジアを盛り上げたい。それはレースに関わる人ならば、だれもが描くことでもあり、主にヨーロッパ中心の自転車競技の文化の中で、「アジアでも競技を盛んにしたい」という思いに納得する部分がこのコミッセールさんから感じた。分かりやすくいうと、嘘つかなさそう、信頼がおけると感じた。

それと含め、東洋フレームの鬼頭メカニックと本シーズンの1つのチャレンジとしてこの遠征は相応しいと感じた。このレースと遠征をうまくまとめられれば、今後のレース活動の幅が出るし、アジアでの環境への適応力はもちろん大きな武器になる。それは自分自身がヨーロッパで生活する中で一番重要なポイントだと感じているところ。1人での活動には限界がある、もちろん、レースは1人では戦えない。チームの力が必要。そのチーム力もチームとして個々の能力を高め、総合力をつけていくしかない。

遠征当日を迎えるまで、現地主催者と何度も連絡をとり、確認を入れた。現地とのコミュニケーション不足での不手際は防げる点。遠征を円滑に行うために、念には念を入れた。

それが功を奏したのか、どうなのか、、細かい意思の行き違いや、不手際はあったけど、トラブルというトラブルは起こさず、レース当日を迎えた。

このレースには若手の村上功太郎選手もジュニアカテゴリーに参加していた。チームは違えど、同じ日本人で志が高く、彼の目指すところは彼の走りから十分に感じた。お互いに足りない点は補い合い、お互いのレースを無事に走れるように徹した。彼のようにチャレンジングな走りは見ていて気持ちよかった。彼は攻めた結果2位でゴール。おめでとう。

僕自身のレースはカザフスタンチャンピオンの選手と一騎打ちに持ち込むも、力の差を見せつけられ、2位でレースを終えた。

僕自身の能力差で負けたレース。

チームとしてはミスもなく、最後までトラブルもなく走り切れた。

こういうアジアの独特の雰囲気、コース、環境下で走ったからなのか、レースはとても集中して走れ、状況判断も的確だった。

この遠征では今季の集大成のバイクとも言える、29インチのカーボンハイブリッドマウンテンバイクを持ち込んだ。前回のレース、全日本選手権を走り終え、自分の中での気付きや失敗を改善し、実践で試す絶好のチャンス。全日本選手権の時とは違い、バイクは思い通りに進み、転がり、まだ乗りこなせてない点はあったにしても、レースを最後まで集中して走れた。バイクセッティング等も鬼頭メカニックと会話し、煮詰めていけた。

コースも上下の動きが多く、無理やり作っているような点はもちろんあったけど、海外ではそれがコースだと言われれば、それがコース。

現地のコースディレクターからも意見を求められたけど、レース自体の雰囲気が、オーガナイザーやスタッフのみんなが前向きに動いていたので、僕が何か意見を言うなんておこがましく感じ、そもそもそんな必要もなく、勝手にこの大会やコースは良くなっていくと感じた。

レースを走り終えるまでは、どこの馬の骨かわからん奴めという目で見られていたのが一変した。レースの前評判ではカザフスタンチャンピオンが必ず勝つという予想だったようで、まぁその通りになったんだけど、その中でもその彼に勝負に挑んだ人間がいて、それがあの日本人だ。という感じ。急に周りに認められ、写真をお願いされ、、取材を受け、、「なんやなんや?」って驚きと同時に僕らのこと認めてくれてことに対し感謝の気持ちも芽生え、東洋チームの今回の遠征が一つの形で成功したとも感じた。

レース後はレース出場前から出席を求められていたアフターパーティに参加し、マレーシアのレース開催地のタンブナンが街を上げてマウンテンバイクに取り組む姿勢やマレーシアの文化に改めて敬意を持った。相手の文化や思いを拒絶すればそれまでの話で、全て受け入れるのは難しいにしても、少しでも受け入れようとすることでコミュニケーションは完結するのだと改めて思った。
それは彼らの世界にお邪魔しているということを大前提に持っておかないといけない。

現地の人や、レースに参加していた他国の選手とも仲良くなり、僕自身のSNSなどがとても賑やかになった。こうやって世界に一緒に戦う友達が増えていくのがなんとも嬉しく、またこのようなレースに参加していきたい。そうすることで、何か形になっていくためのことが、東洋フレームチームとして、竹之内悠として、増えていくように思う。

アジアマウンテンバイクシリーズ第1戦八幡浜大会と今大会で2位に入賞したことにより、暫定アジアマウンテンバイクシリーズチャンピオンジャージを頂き、現地メディアにも取り上げてもらった。

本大会で2017年のマウンテンバイクレースは終え、シクロクロスへとスイッチする。いい形でマウンテンバイクからシクロクロスへとスイッチでき、歯切れが良い。僕自身のシクロクロスシーズンは9月初旬に中国で開催されるUCI1クラスに参加し、その後、本格的に10月1日からヨーロッパで僕のシーズンが始まる。

最後に、本大会の表彰式後、鬼頭メカニックと2人で撮った東洋フレームの新たな一歩の記念。では。