ハイブリッドのその先に

自転車のフレームビルダーといえば、やはり鉄フレームというイメージだろうか。
東洋フレームも鉄を主力とはしているが、実際には過去から多岐にわたる素材への試行錯誤の中で、様々なフレームを制作してきた。
東洋とカーボンの関係についても、もちろん現在のクロモリ-カーボンハイブリッドが初出というわけではない。

【GRAPHITE DESIGN】ヒストリー/初代モデル

現在採用しているカーボンパイプは「グラファイトデザイン」社製の東洋オリジナルパイプとなっている。
グラファイトデザイン社は国内気鋭のカーボンフレームメーカーとして活躍しているが、東洋フレームも自転車事業の立ち上げ時よりいろいろと協力させていただいている関係である。

 

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現在まで積み重ねてきたノウハウにより、辿り着いた一つの形がトップチューブ&ダウンチューブをカーボンパイプとするハイブリットフレームである。
安定性には欠かせないヘッドとフォーク周りは剛性の高い1.5″テーパーヘッドを採用し、ハンドリング性能の向上を確保。
そこから伸びるカーボンパイプは強度と重量のバランスに優れた構造体だ。

そしてクロモリで構成されたリア三角へ繋ぐことで、複合フレームでありながら鉄フレーム独特の芯のある乗り味を最大限に発揮している。

それは路面からの細かな振動を軽減してくれることや、重たいギアでの強い入力へも柔軟に受け止めるフレームのしなりとして現れる。

しかしフレームの硬さに頼る構造ではないため、フルカーボンの様になにも考えずに踏んでその機能を発揮できるものではない。
鉄フレームの真価を発揮するためには、本来高いペダリングスキルを要求される。
美しいペダリングによる入力とフレームの反発のタイミングが噛みあった時、初めて本当の性能を発揮できる。

そういう意味では、このフレームの本当の良さを感じることができるのは、乗り始めてすぐではなく、ライダーとしてのレベルが上ってからになるかもしれない。

そしてあなたが初めてこのバイクに跨った時、ペダルの一踏目にどう感じるかはそれまで乗り継いできたバイクにも依ると思う。
車体の重量を感じるだろうか、それともダイレクト感が足りないだろうか。

ハイブリッドフレームは完全な競技機材として開発されているわけではない。
他の競技志向の製品と特定環境で評価をした場合、一歩譲るところは多々ある。

現在のカーボン成形技術と各種テクノロジーの進歩は目覚ましいものがある。
純粋に重量の効いてくるヒルクライムや、瞬間的な力の反応を求められるレースでは特にフルカーボンフレームの特性が活きてくる。

しかし、だからといって「競技機材ではない」というわけでもない。

これまでの東洋が関わってきた競技用フレーム制作を含めたノウハウを十二分に含んだ「ロードバイク」だ。

一定のシチュエーションだけでなく、幅広い用途を想定している。
もちろんその中にはレースも含まれている。

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現在のハイブリッドフレームは一つの到達点ではあるが、決して完成形ではない。

 

まだまだやれることはある。

自転車の価値は性能であり、快適さであり、品質であり、そして強さでもある。

限界はない。