日本製の真価とは

今ここで起きた出来事が、次の瞬間には世界に散らばっていく。

現代においてはありとあらゆる出来事や思考がインターネットを経由して共有され、
化学反応を起こし、新しいアイデアとして生まれ変わる。

―そしてそのアイデアが風化していく速度も、加速を続ける。

全てが情報の激流に曝されることで、その外皮が削ぎ落とされ純粋な価値が浮き彫りとなる時代。
そこで見えてくる「自転車」の本質とはなんだろうか。

スピード・距離・目的などに関わらず、乗るヒトのストレスを最小限に減らし、
そしてその時間を豊かに過ごせること。
競技も、旅をすることも、日常の足と使うことも、全て自転車に乗るという同じ行為。
その行為に喜びを見出し、次の世代に受け継ぐことは出来るだろうか。

共に走りたいという人々の思いを形にした自転車を作りたい。

距離・時間・世代、全てにおいて長く乗り続けられる自転車を提案したい。

時代も場所も越えて、自転車と共に過ごした日々を、見た景色を、体験した冒険を、戦った記録を―
その全てを誰かに話したくなるような、そんな自転車を届けたい。

そしてそれは、自分たちの生まれた国で生み出されるべきだと思うのだ。

 

「MADE IN JAPAN」は魔法の言葉だ。
その言葉だけで品物に価値を感じる人もいるだろう。
しかし、その本質は世の流れの中に置き去りにされ、イメージだけが先走りしたただのブランドと化している。
もはやかつての日本製が持つ意味は失われつつある。

東洋フレームには、40年以上の歴史がある。
紆余曲折もありながら、切磋琢磨し時代の荒波を乗り越え、技術を引き継いできた。
日本の文化、歴史、考え方が染みついた技術者集団として。

私達の仕事は日本製というラベルを貼ることではない。

日本人にしか形にできないものだからこそ、日本製である真価と意義がある。
それは現代の「MADE IN JAPAN」とは次元を別にするものだ。

自身の製品によって自転車の持つ純粋な価値を世界へ広めていくことが、
東洋フレームの進むべき道だ。