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Qiansen Trophy UCI1 Fengtai stage.

Qiansen Trophy UCI1 Fengtai stage.

9/1から9/7まで、中国の北京へとUCI1クラスのシクロクロスレースに参加のため、遠征してきた。レースは9/3Fengtai、9/6Yanquingの二回行われる。本ブログでは一回目のレース、Fengtaiのことを書く。

このレースはここ5年ほど行われており、UCI1クラスのレースのため、UCIポイントを獲得できる大会として日本からも多くの選手が参加していた。僕は今年が初参加。遠征目的はUCIポイントの獲得ではない。UCIポイントはもちろん欲しいけれど、UCIポイントを獲得してもスタート位置が前になるだけで、そのUCIポイント=その選手の実力とはならないし、実力が伴ったうえで追うべきものだと僕は考えている。なので、無理してこのレースに参加しようとは思っていなかった。それに、中国に遠征し体調を崩すリスクとヨーロッパ遠征前に海外遠征を挟むことでレースや体力以外の面で自身を疲労させるのを避けたかった。しかし、今年は例年とシクロクロスシーズン前の取り組みを変えていたこともあり、9月に一度レースを取組みたかったので、多少リスクのある中国遠征に参加することを決めた。主な目的は、昨シーズン終了後から取り組んできたことの成果の確認、10月からヨーロッパで本格的に始まるシクロクロスシーズンに向けての実践的トレーニングと東洋フレームのチームとしての総合力を上げるための遠征に位置付けていた。東洋フレームからは鬼頭メカニックを派遣していただき、女子選手にシクロクロスは東洋フレームを乗る予定の福本選手が参加、東洋フレームチームとしては三人で参加した。

本レースには世界各国からの招待選手が集まり、主に英語圏の選手が多く感じたが、ヨーロッパからも名の通った選手が参加していた。そのうちの一人が、Thijs Van Amerongen選手。彼は去年までベルギーのビックプロチーム、FIDEAに在籍しており、今年はオランダのチーム、ZZPRに移籍していた。彼とはヨーロッパ滞在中に話したことはなかったけれど、SuperPrestigeやワールドカップなどで一緒にスタートはさせてもらっていたので顔は知っていた。彼も僕のことを知っていてくれたようで、滞在先のホテルで僕の顔をじっと見るので「I’m Yu Takenouchi!」と自己紹介すると、「あぁやっぱり」といった感じでそれをきっかけに話ができた。西洋の人からしたら、アジア人の顔を覚えるのは難しいだろうに、これだけしつこくベルギーで走り続ければ顔ぐらいは覚えられるものなのかと納得もした。僕の中では彼はビックチームにいるスター選手であり、僕から話しかけるのは筋違いな気がしてベルギー滞在中は話しかけたことはなかったけど、こういう特殊な場ではそれも許された。

レース前日の試走は、この日から新車を投入したての福本選手を中心に鬼頭メカニックと共に彼女のバイクのセッティング作業をしつつ、自身のバイクの細かいところを煮詰めていった。コースは単調で細かいコーナーの繰り返し。路面は硬く、コース幅も狭い。レースになり、スピードが上がれば使用できるラインが決まってくるので見た目以上に抜きどころのないコースに思えた。高低差は少しあり、コース幅が広く車速の違いを生みやすいポイントは登り区間で、余裕を持って他選手をかわすには登り区間が一番安全だと感じた。ペースが上がるポイントはしっかりと上げ、それ以外のセクションではミスなく的確に走る。このコースを早くメリハリをつける必要があった。それがレースを最後まで走りきる重要なポイントに思えた。懸念していた福本選手のバイクのセッティングも彼女と一緒に試走を繰り返し、彼女のバイクの動きと体の動きを見ることである程度早い段階でバイクのセッティングの方向性が見えた。僕自身も攻めるか守りに入るか、セッティングの面でレース前日の夜まで悩んだ。結果として攻める方向にした。試走していても自分が走れているとは感じれてなかったのでレース本番は自分の走りに自分が一番驚いたと思う。

自身のエリート男子のレース前に福本選手のレースがあったので、彼女の走りを見て、声をかけた。序盤のスピードはいいけれど、後半にかけてはペースが崩れていた。常にプッシュする気持ちが見えたのでとてもいいレースをしていた。新しい機材もトラブルなく、最後まで走り切っていたので、レース三日前にバイクを組み上げた鬼頭メカニックは当たり前だけど、さすが!と思った。

僕はスタートするまで自分のバイクのセッティングの方向が正しいか半信半疑だった。と、いうのも試走の段階では全く走れていると感じれなかったから。去年までと比べ、ステムは1cm下げ、サドルポジションもクランクも変更し、ハンドル周りもロードとほぼ同じにした。ヨーロッパのレーススピード、パワー、度重なる連戦にも対応し、レースで結果を出していくためには必要な選択だった。そうするためにも上半身の体の使い方やペダリングまでほとんど全て見直していた。全てはヨーロッパで結果を出すため。毎年の課題。あとはこのバイクポジションに対し、自分の体が耐えて、さらにスピードに乗ってくれるのか。日本でのトレーニングではいい感触を得ていたけれど、レースという切羽詰まった局面でしかわからない点が知りたかった。

さて、レース。タイヤはChallengeタイヤ、Seta、CHICANE、33c。前後1.6Bar  。スタート位置は3列目。スタート位置に対しての不安はなく、とりあえず、スタートを無事に済ませようという気持ちが強かった。どの選手がどのレベルなのか、ワールドカップなどでもないため、予測が立たなかった。

スタートし、第一コーナーに対してはアウト側の位置取りでコーナーに差し掛かる。しかし、ほぼトップ付近を走っていた選手が落車し、インからアウトに滑りながら落車したために、上位選手とアウトに膨らんだほぼ全ての選手を塞ぎこむ形になってしまった。僕ももちろんアウト側に位置取っていたため僕自身は落車しなかったけど、ラインが塞がれ、身動きが取れず、すぐに再スタートできなかった。その間にイン側から多くの選手がパスしていく。再スタートを切れたころには参加者の58人の半分以上が前方にいる状態、30位前後だったと思う。けれど、レースは始まったばかり、気持ちを入れ替え、半ば強引に選手をパスしていく。

序盤の1-2周は各選手が元気なため、なかなか順位を上げることができない。皆が疲れるのを待つ。そんな中、Thijs選手も僕のすぐ前にいた。彼はこの順位で終わるような選手ではない、強い選手はなにがあってもできる限り修正してくるのはヨーロッパの選手と常にレースし、十分理解していた。彼の順位を上げていくポイントに合わせ、僕も順位を上げていく。順位を上げるタイミング、休むタイミング、すべてにメリハリがある。無理はしすぎない、攻めるところは攻める。見ていてとても勉強になった。彼の後ろを走り続けるも、やはりヨーロッパからアジアに遠征してきているせいか、キレがなかった。

頃合いを見て、中盤にThijs選手の前に出て、単独で前を追走するも、今度はイタリア人選手と二人の小集団になり、レースを進めた。中盤から終盤にかけては、パック(小集団)間をジャンプし続けた。10秒差程度なら登坂区間を全力でもがき続け、コーナーは適度にプッシュし続けると面白いほどにすぐ前のパックに追いついた。羽が生えた気分だった。とにかく前へ前へ。順位を一気に上げていく。スタートの遅れを取り戻したい一心だった。ラスト3周でレースの雰囲気の漂うパックに追いつき、一休み。

電光掲示板で自身の順位を確認すると一桁後半だった。これには驚いた。まさかそこまで順位を上げれているとは思っていなかった。そこからはゴールまでは順位の計算を頭でしつつレースを進めた。「前にいる選手が何位で自分が何位で走りの雰囲気的に・・・・」と常に考えていく。そうすることでよりアグレッシブルに攻めていくことができた。

なんとラスト2周でそのパックにThijs選手が追い付いてきた。特に驚かないけど、やっぱり当たり前に強いと思った。それまで彼とは差を開き続けていたのでどんなペースで追いついてきたのかと考えた。ラスト1周で彼がアタックし、僕はそれを全力で追った。序盤のラップタイムとさほど変わらなかっただろうペースで前をいくThijs選手。速い。。。。踏みこんでスピードに乗った時のギアのかかり方、推進力が全く違う。そのまま彼には追い付けず、7位でゴール。トップとは1分20秒差。彼とは9秒差。

レース後、最後までプッシュし続けれるレースができたこと、懸念されたバイクのセッティングに問題はなく、前日に攻める方向に振ったのがまた吉と出たこと、それにバイクトラブルもなかったことを鬼頭メカニックと共に喜んだ。数字の結果は置いといて、新たな走りの領域に自分が立てたことが自分で認識でき嬉しい気持ちもあったが、同時にこの先は何が必要になってくるのかとも考えた。

この日は暑く、28度予報のレースだったけど、登坂が不安で少しでもバイクと自分を軽くしたかったので、ボトルは持たずにスタート。どうしても水分補給が必要ならピットに入る覚悟でいた。そのおかげか、レース終盤は常にのどが渇いたと感じたけど、一つの集中力とハングリーさを保つためのいい材料になった。

バイクのスピードの乗り方も思い描いた通りで日本でのトレーニングで意識していたことが実践に生きた。少し出来過ぎのように感じたが、今まで遅いと感じていたパートが克服されていた。ただただ自分の速さに自分が驚いた。それ以外にもたくさん新しい発見があり、ここ数年取組んできたことが確実に実を結びかけていることを感じた。

福本選手は今回のレースの結果を踏まえ、中国2戦目ではもっと速く楽に走るために少し修正の必要があったのでまた次戦のレース会場で煮詰めなおそうと話し合った。

次回ブログ Yanquing stage に続く。